森東京山岳同盟 / 甲武信ヶ岳篇

Posted by countach.tv - 9月 24th, 2013

癒しの源流散歩♬
日本一長い川・信濃川の源流があると聞いて、その水でいれたての珈琲を飲みたいと思った。
1日目はどんより曇りで、2日目はときどきの雨。
甲武信ヶ岳へのアプローチは樹林帯がメインなので雨でもそれほど気にならない。
そもそも大人になって雨のなかを濡れて歩くことなんて、日常生活ではないこと。
ここは童心に帰って、雨の山を楽しむことにした。

登りはじめて4時間後。
甲武信ヶ岳の山懐から湧き出す信濃川の最初の一滴。
ゆっくり下った先に湧く水は冷たくておなかが痛くなるくらいで、
でもやめられないくらいおいしかった。
 
 

丸谷さんが作ってきてくれたちりめんじゃことピーマンのおむすび。
男が握ったおむすびはガツンと胃にしみるなぁ~。ウマいっす!
 

 

 
日本百名山の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)山頂。
もともとは山の形が握り拳に似てるので拳岳と言われてたそうだ。
その後、地理的に甲州(山梨県)・武州(埼玉県)・信州(長野県)の国境にあるから
この名前がついたとされる。「コブシ」とはなんとパンチのある名前だろうか。
 
 

急にガスがとれて展望が開けてきた。
源流で入れたコーヒーを飲む。その名も源流珈琲♬
コーヒー嫌いもこの珈琲を飲んだら感動するにちがいない。
 
 

今夜の寝床。 これぞ ザ・山小屋! 
夜の静けさのお供は、ウイスキーを入れた珈琲とあまーいお菓子♡
 
 

築60年の甲武信小屋。翌朝は5時半に出発。
雨に濡れた小屋を旅人が急ぎ足でまた次の山へ駆けてゆく。
 
 

今もランニングを続けているというカメラマンの丸谷さん、は、
外国のお菓子がたっぷり詰まったバックパックを軽々背負って、顔色ひとつ変えずに急坂を降りていく。
うっそうとした樹林の急坂。
少し気をゆるめると、先を行く人はすぐに視界から消えてしまう。
 
 

甲武信小屋から十文字峠への道のりはすばらしい。
雨上がりだったためか、キラキラと輝きながら、
まるで発光しているようなコケがあたり一面を覆っていた。
 
日本の百名山を選んだ深田久弥氏のエッセイ『日本百名山』の
甲武信ケ岳の節にはこんな一節があった。
『奧秩父でも、甲武信より高い峰に国師や朝日があり、
山容から言ってもすぐ北の三宝山の方が堂々としている。甲武信は決して目立った山ではない。
にもかかわらず、奧秩父の山では、金峰の次に甲武信をあげたのはどういうわけだろうか。
おそらくそれはコブシという名前のよさ、歯切れのよい、
何かさっそうとした山を思わせるような名前のせいかもしれない』。

なるほど、山の名前か。これからは名前の響きのよさも山を選ぶ基準にしたいと思った。
日本の百名山には、品格と歴史と個性を兼ね備えた山が選ばれているという。
地味だけど、甲武信ヶ岳には山の品格が確かにあった。
たとえ平凡な山でも、登る者を魅了して脳の奥にしっかりと刻まれる濃厚な気高さだ。
下山した時にはすっかり雨も上がっていた。
夏はまだ少し残っている。
出かける前とはちょっと違う日常に二人で意気揚々と降り立った。
 
  
~過去の山歩き~
2013.4 陣馬山&高尾山編
2012.11 箱根編
2011.10 奥穂高 後編
2011.10 奥穂高 前編
2010. 9 上高地編
2009. 9 富士山編
 

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